パクチーになりたい

パクチー。何年か前に流行りだし独特の味と香りで賛否をよんだパクチー。現在はエスニック料理には欠かせない食材として、それなりの地位を築いている。

私はあのパクチーの味と香りが苦手だ。絶対に好んで食べたいとは思わない。

なのに、パクチーを見るとつい食べたくなってしまう。

苦手な味のはずなのに、あのクセを味わいたくてたまらなくなってしまう。身体が求めてしまう。だから、ついパクチーののった料理を注文してしまう。運ばれてきた料理を一口口に運ぶと広がるクセ。まずい。美味しくない。なぜ私はこの料理を頼んだんだ、と後悔する。しかし、次またパクチーの料理を見たらまた頼んでしまうのだ。

なぜ苦手な味だとわかっているのに何度も頼んでしまうのか。それは私がクセのある独特な唯一無二なものに憧れがあるからだ。誰にでもいい顔するわけではない、友達は少ないがその子を好きな子はその子にどっぷり浸かる。そんなわかる人にはわかる、大きな魅力を持つパクチーに私はなりたいのだ。

私は八方美人をしてしまう。誰にでもいい顔をして、誰からも嫌われないように。そんなつまらない人間でいてしまう。嫌われるのが怖いから自分を出せない場面は今まで何度もあった。そんな自分を変えたい。だがなかなか変えられない。嫌われたっていいじゃないか。それでもそんな私を好いてくれる人はいる。そう思っても行動に移すのは難しい。

だから私はパクチーに憧れて、パクチーに近づくためにパクチーを食べる。そしたら私もパクチーみたいな人間になれるかもしれないから。

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